工場の床塗装がすぐに剥がれるのはなぜ?一級技能士が教える「長持ちする床」の条件

はじめに:何度塗り直しても、また剥がれてしまう…その「いたちごっこ」を終わらせる

工場の床塗装を直したばかりなのに、数ヶ月もしないうちに塗膜が浮いてきたり、フォークリフトの通り道が剥がれてコンクリートが剥き出しになったり…。工場長様や設備担当者様にとって、床の補修は頭の痛い問題ではないでしょうか。

「工場の床なんて、過酷な環境なんだからすぐに剥がれるものだ」「消耗品だから仕方がない」と諦めている方も多いかもしれません。

しかし、断言します。早期の剥がれには、必ず明確な「技術的な原因」があります。

塗料メーカーのカタログスペックでは「高耐久」と書かれているのに、なぜ現場ではすぐにダメになるのか。その原因の多くは、塗料そのものの性能ではなく、施工する側の「下地処理の知識不足」「環境診断の甘さ」に起因しています。

本記事では、佐賀・福岡エリアで数々の工場改修を手掛けてきた一級塗装技能士の視点から、床塗装が失敗する「真の原因」と、10年先を見据えた「強い床」を作るためのプロの技術を徹底解説します。


床塗装が失敗する最大の要因:命取りになる「下地処理」の手抜き

塗装工事において最も重要であり、かつ最も工数がかかる工程は、実は「塗る作業」ではありません。その前段階である「下地処理(素地調整)」です。塗装の寿命の8割は、この下地処理で決まると言っても過言ではありません。


1. 「レイタンス」という見えない敵

コンクリートの表面には、打設時にセメントの微粒子や不純物が浮き上がって形成された「レイタンス」と呼ばれる脆弱な層が存在します。一見すると硬いコンクリートに見えますが、実は非常に脆く、接着力を阻害する薄い膜です。

このレイタンスを完全に除去せずに塗装をすることは、「埃の上にセロハンテープを貼る」ようなものです。どんなに高価で強力な塗料を塗っても、レイタンスごと層状に剥離してしまいます。

安さを売りにする業者は、この除去工程をブラシで掃く程度で済ませてしまうことがありますが、我々専門業者は「ポリッシャー」や「ショットブラスト」といった専用機械を使用し、健全なコンクリート層が出るまで表面を物理的に研磨・切削します。


2. 油分と水分の残留

食品工場や機械工場では、床に油分が染み込んでいるケースが多々あります。油は塗料の密着を妨げる最大の要因です。表面を洗っただけでは、コンクリート内部に浸透した油までは除去できません。

また、水分も大敵です。地中の水分がコンクリートを通って蒸発しようとする力(水蒸気圧)は強力で、塗膜を裏側から押し上げて膨れさせます。

プロの施工では、含水率計を使用して数値を測定し、基準値を超える場合は、透湿性のある塗料を選定するか、特殊なプライマーで湿気を遮断する処理を行います。


現場環境と塗料の「ミスマッチ」:適材適所の科学

「床用塗料」と一口に言っても、エポキシ、ウレタン、MMA、コンクリート強化剤など、その種類は膨大です。現場の負荷(熱、薬品、重量、摩耗)を正確に見極め、最適な樹脂を選定する知識がなければ、耐久性は確保できません。


熱水を使う場所に「エポキシ」はNG

エポキシ樹脂は硬くて摩耗に強く、耐薬品性にも優れる非常に優秀な床材ですが、「熱」には弱いという弱点があります。

例えば、80℃以上の熱湯洗浄を行う食品工場の床に一般的なエポキシ樹脂を塗ると、熱膨張率の違いからクラック(ひび割れ)が入り、そこから水が浸入して剥がれてしまいます。

このような環境では、耐熱水性に優れた水性硬質ウレタン(例:SK化研 ユークリート)を選定するのが正解です。これはコンクリートに近い熱膨張係数を持つため、急激な温度変化にも追従します。


フォークリフトが走る場所に「薄膜」はNG

フォークリフトが頻繁に旋回する場所には、強烈なねじれの力が加わります。ここに、ローラーで薄く塗るだけ(薄膜工法)の塗装を行っても、タイヤの摩擦ですぐに摩耗してしまいます。

重量物が通る動線には、コテを使って厚みを付ける「厚膜工法」や、骨材(砂)を混ぜて強度を高めるモルタル工法を採用する必要があります。初期費用は掛かりますが、頻繁に塗り直すコストと手間を考えれば、結果的に最も安上がりになります。


「乾燥時間」の管理不足:見切り発車が招く事故

工場の改修でよくあるのが、「生産を止めたくないから」と急ぐあまり、塗料が完全に硬化する前に使用を開始してしまうケースです。

塗料には「指触乾燥(触っても付かない)」「歩行可能」「完全硬化(フォークリフト走行可能)」という段階があります。表面が乾いているように見えても、内部の硬化反応が終わっていない状態で重量物を載せれば、塗膜は簡単に破壊されます。

このリスクを避けるためには、以下の2つのアプローチが必要です。

  • 余裕を持った工程計画:気温や湿度による硬化時間の変化を計算に入れ、確実に硬化する時間を確保する。
  • 速乾性塗料の活用:どうしても時間が取れない場合は、1〜2時間で硬化するMMA樹脂などの特殊材料を使用する。


栄城建装が選ばれる理由:見えない部分への徹底したこだわり

我々は、「一級塗装技能士」としてのプライドを持ち、完成してしまえば見えなくなる「下地処理」にこそ、全精力を注ぎます。


1. 徹底した現地診断

まず現場に伺い、床の汚れの種類、水分の有無、既存塗膜の種類、クラックの状態などを詳細に診断します。必要であれば、付着強度試験を行い、数値に基づいた判断を下します。


2. 最適な仕様の提案

「予算優先でとりあえず綺麗にしたい」のか、「10年間メンテナンスフリーにしたい」のか。お客様の目的と現場の状況を照らし合わせ、SK化研をはじめとする国内トップメーカーの数百種類の塗料の中から、ベストな組み合わせをご提案します。


まとめ


「長持ちする床」は、最大のコストダウンになります。


安価な工事を何度も繰り返すより、確かな技術で一度しっかり直す方が、トータルのコストも、生産を止める回数も圧倒的に少なくなります。

「もう床の剥がれで悩みたくない」「自社の工場に合った塗料が知りたい」という方は、ぜひ一度、地元の専門家である栄城建装にご相談ください。

プロの目で現場を診断し、貴社の工場の「足元」を支える最適なプランをご提示します。

最後までお読みいただきありがとうございました。